本年必見の『歩いても 歩いても』3日限!滋賀会館シネマホール

エス

2008年11月02日 07:14

「人生は、いつもちょっとだけ間にあわない」
 なかなか上手いキャッチコピーです

10月の滋賀会館シネマホールでのメイン作品として上映を続けてきた是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』がいよいよ明3日(月・祝)限り!
最後の上映はモーニングタイムとレイトタイムのそれぞれ1回のみ。
朝は、9:20am.〜と、夜は19:30pm.〜と、おおよそ親切ではない時間ですが、最後の追加上映と云う次第でご容赦願いたい処ですが、それでも駆けつけて見るだけの価値が十分にあると言い切れるだけのクオリティですし、何よりご覧になったお客様の満足度は尋常ではなく、本年度1位に推薦する方も多いと思われます。



そんな凄い日本映画なのですが、しかし同時にこれだけシネマコンプレックス型の映画館に似合わない映画も、ちょっと無いんじゃないかな?と言える作品でもあります。
と云うのは、この映画のビジュアルです。



最初のティーザー、コメントチラシ、全国流通版チラシと、どれをとっても一言で言えば地味。つまりキャッチコピーですら目立たないようになっています。そしてそれはある意味で、意図されているものなのだと。



主演キャストがイラストから次第にカオで見えて来る程に、役者の名前が小さくされてます。

デビュー作『幻の光』の頃からこれまで、是枝映画の宣伝ビジュアルは一貫して白を基調としたシンプルなデザインで作られています。しかし『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭で受賞したことを切っ掛けに、これまで単館系上映であった是枝作品が急きょシネコンへと拡大公開されました。その異例の大ヒットを収めた事によって、さらなる期待を一身に集めた是枝監督は、続く「花よりもなほ」で初めて映画撮影所での時代劇を製作しましたが、やはり松竹系の全国数百スクリーンに上る一斉公開作品の荷は重く、手掛けたものの連続ヒットは生み出せず、かなり厳しい結果となっていました。
そんな前作の結果から今回は無理な拡大公開は取らずに、単館系の観客層を見据えて原点に戻った公開展開が行われ、それが功を奏しているのだと感じます。
「で、大津までこの映画を見に来いって!?」と、いうことです。はい。ゴンチチの音楽も素晴らしいですよ。

ちなみにカンヌと云えば‥‥
2度もパルムドール・グランプリに輝いたデンマークの名匠ビレ・アウグスト監督の新作『マンデラの名もなき看守』も11/3(月・祝)まで!



タイトルの通りネルソン・マンデラの自伝的お話しではなく、看守とその妻の、つまりこれはある偉大なる男と普通のオトコを通してみた普遍的な夫婦の物語です。偉人伝と勘違いして見ると外れな映画になるでしょうが、名作『愛の風景』『愛と精霊の家』などの監督だけに、四半世紀に渡る歳月の愛と感動を見事にまとめあげられるのです。
主演の男優二人が上手いのことはおいて、やはりエスとしては『トロイ』で気になって、 シネマホールで正月に公開した『敬愛なるベートーヴェン』で更なる輝きを増した美人女優ダイアン・クルーガーの活躍が嬉しいですね。ヨメさんに感謝しましょう。

『歩いても 歩いても』のポスターがいかに地味かと云うと‥、



シネマホールの看板に貼っていても、キャスト分らない。コピー読めない。
このポスターがシネコンに貼ってあっても、まあ何の映画だか分りませんよね。
と云うコトで、コピーとは別に、いしだあゆみの曲名からの由来がタイトルだと、県庁前の40代以上にはちょいと分る様に上にと、宣伝文句を加えたんです。
映画って、ただ見せるだけではなくて、いろいろと工夫を考えないといけない事もいろいろです。