映画は旅だ!『ラッチョ・ドローム(良い旅を)』を滋賀会館上映

2010年03月27日

大津京町・滋賀会館シネマホールの最後のプログラムに組まれた聞きなれない?映画タイトル。

『ラッチョ・ドローム』(Latcho Drom)1993年作品

ジプシーの映画を撮り続けているトニー・ガトリフ監督。
彼が最初に撮った“ロマ映画”の原点こそ、この『ラッチョ・ドローム』。

映画は旅だ!『ラッチョ・ドローム(良い旅を)』を滋賀会館上映

今から千年以上前、北インドを出発したロマ民族の祖先は数百年かけて西へ西へと移動し、エジプトを経て地中海にぶつかると南北に分かれてさらに東欧、フランスへと進む。そして最後にたどり着いたのは、スペインのアンダルシア地方。
この映画はインドからスペインに至るロマ民族の旅を、ロマ民族に伝わる音楽と踊りを通して描く一種のドキュメンタリー・ドラマ。

全編が、歌と踊りの連続。
ドキュメンタリーでもフィクションでもないのだけれども、そこには音楽と共に生きた人々の物語がある。
次々に現れる歌や踊りが、ジプシーたちの強いられた移動とともに進化をとげてゆく。
アジアからヨーロッパにまで広がった“ロマ”という民族の共通資産である音楽そのものが、この映画のテーマ。これはジャンルを越境する映像詩ともいえる。

これまで『モンド』や『ベンゴ』から、『僕のスウィング』の主演チャボロ・シュミットびわ湖ホール公演など、ライブとの連動も含めて意外にトニー・ガトリフ監督の映画を上映してきた滋賀会館シネマホール。
ジプシー、ロマ系の音楽映画もいろいろと多く上映してきました。
2003年の「復活願いま~す」上映でもクストリッツァの『SUPER8』を組んでます。
最近でも『フラメンコ』や『ジプシー・キャラバン』に『炎のジプシー・ブラス』を上映。

映画を知れば、これだけ広範囲に広がっているジプシー、ロマの音楽が根底では繋がっていることが良く分かります。コトバを超えて音楽は人々の心を一つにしてくれます。

映画は旅だ!『ラッチョ・ドローム(良い旅を)』を滋賀会館上映

そんな音楽がベースとなる映画に結構こだわって上映を続けてきた滋賀会館シネマホール。
音楽映画の秀作でも『エルビス・オン・ステージ』から昨年の『ザ・ローリング・ストーンズ/シャイン・オブ・ライト』、さらには『真夏の夜のジャズ』まで、名作から話題作を多彩に上映してきました。

どんなにツラい時でも、この星にはすばらしい音楽があるんだ!
そんな根源を、厳しさを生き抜いたロマの音楽が改めて我々に教えてくれるのです。

と、いうわけで、京都でも1回だけ、2001年に最初の京都駅ビルシネマ企画で上映して以来。
9年ぶりとなる映画館上映の名画『ラッチョ・ドローム』。

久々の御開帳で、大津京町・滋賀会館シネマホール上映のフィナーレであります!
3/28(日)=12:30
3/30(火)=16:20
3/31(水)=18:30 ラストショー!



Posted by エス at 19:29