ビョークが歌い天使が佇むアイスランド映画『春にして君を想う』

2010年03月20日

アイスランド映画の秀作『春にして君を想う』(原題“CHILDREN OF NATURE”)

極北の幻想的な光景の中、故郷を目ざす2人の老人の姿を通じて、人間の孤独と不安、生と死、自然との関わりを綴ってゆくロードムービー。

ビョークが歌い天使が佇むアイスランド映画『春にして君を想う』

3/22日(月・祝)までの上映。
大津京町・滋賀会館シネマホール
http://www.rcsmovie.co.jp/shiga/

約10年ぶりとなる劇場公開ですので、お見逃しなく!

この作品は、日本で劇場公開された初のアイスランド映画。
1991年のアカデミー賞では[外国語映画賞]にも見事ノミネートされ、極北の小国からまさかの選出で大いに注目を集めたのです。
(結果的に受賞はイタリアのガブリエーレ・サルバトレス監督の冴えない映画『エーゲ海の天使』なのが???)
そして1992年のカンヌ国際映画祭でも上映され、参加していた日本の映画関係者たちが鑑賞し、口々に「“CHILDREN OF NATURE”が良かったよ!」と大評判。
めでたく、買い付けられ『春にして君を想う』という邦題が付けられ日本公開が決まった次第。

ビョークが歌い天使が佇むアイスランド映画『春にして君を想う』

年老いた男と女の逃亡劇に、アイスランドの見事なまでに美しい大自然の景色を伝えるために、優しく詩的な日本語の邦題名を探し続け、ずいぶんと時間をかけていました。
映像だけでなく音楽も素晴らしく、ヨーロッパ映画賞では音楽賞を受賞。
孫がいまどきのロックをかけておじいちゃんを泣かせるときにかかるのが、ザ・シュガーキューブス時代のビョーク!
全く見知らぬ国の田舎風景ではありますが、特別出演のブルーノ・ガンツの若さも含めて、1990年ごろの時代がグッと迫ります。
この当時ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン 天使の詩』が、どれだけ世界に影響を与えていたかという事にも驚かされる要チェック作品です。

日本で公開されたのは1994年の春。
しかしここから、もうひとつまさかの日本コネクション。

監督のフリドリック・トール・フリドリクソンは、何とこのあとの新作を日本で撮影!
ジム・ジャームッシュ作品の制作者ジム・スタークと組み、「ミステリー・トレイン」で注目した永瀬正敏を主演に迎え、日本人が愛しランドへと旅する新作映画『コールド・フィーバー』を完成させ1995年に公開したのですよ。

ビョークが歌い天使が佇むアイスランド映画『春にして君を想う』

もう今やアイスランド映画界のキーパーソン監督。
でもこのあと、これを上回る代表作が出ていないのもちょっと気になるところ。
いやはや、もう人生はどうなるか分かりませんね〜。



Posted by エス at 01:07