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Posted by 滋賀咲くブログ at

ヒトラーとレーニンの幻想☆浮遊する映像世界〜ソクーロフ大特集

2008年05月17日

「世界の映画にとって、アレクサンドル・ソクーロフがいることは非常に幸福である。」
・・・映画監督 マーティン・スコセッシ

ソクーロフ。その作品の魅力とは、言葉に頼らない映像の力強さにあります。
一昨年、イッセー尾形が昭和天皇ヒロヒトを演じた事で大きな話題となった『太陽』の公開で一躍日本でも知名度が上がったロシアの映像作家アレクサンドル・ソクーロフ。
『太陽』はソクーロフ監督が、歴史上の人物を描くシリーズ【権力者4部作】のうちの第3作でしたが、第2作で未公開作であった1920年代ソ連とレーニンの晩年を描いた『牡牛座 レーニンの肖像』が順序を前後してロードショーされるにあたり、その作家としての全貌をもっと垣間見ようと、京都みなみ会館で初めての<ソクーロフ監督大特集>を組む事になりました。(これ迄は3作品内の小特集でしたので) ちなみに第4作目は、ゲーテの『ファウスト』とトーマス・マンの『ファウスト博士』についての映画となる予定です。



<ソクーロフ監督特集> 上映期間は、5月17日(土)〜30日(金)の2週間。
特集上映では、シリーズの第1作で、晩年のヒトラーの素顔を描いた『モレク神 』。世界的な評価を確立した壮大な叙事詩『日陽は静かに発酵し…』。ワンシーン・ワンカットによる映像マジックで世界的に大ヒットした代表作『エルミタージュ幻想』を初め、これ迄京都で上映機会の無かった初期作品『ヒトラーのためのソナタ』『孤独な声』『痛ましき無関心』など全9作品8プログラムを『牡牛座 レーニンの肖像』ロードショーと合わせて合計10本、一挙連続上映致します。

特集上映のトップバッターは、なんと20年に渡ってヒトラーを考察した2作品の豪華2本立。
『ヒトラーのためのソナタ』(1979年)は、同時代を生きた二人の独裁者ヒトラーとスターリンの人生を対比させた短編。
そしてその映像制作の原点たる想いを発展させて、20年後に結実させた長編が『モレク神 』(1999年)です。


この作品でソクーロフは「ヴィスコンティ監督の『ルードヴィッヒ 神々の黄昏』と並ぶ傑作」と絶賛され、見事に<1999年カンヌ国際映画祭・最優秀脚本賞>を受賞しています。

『モレク神』とは、古代セム族が子供を人身御供にして祭った恐ろしい犠牲を要求する神の名前。旧約聖書では、“悲惨な災い”や、“戦火のシンボル”となっている。
この映画では、愛人エヴァと過ごすヒトラーの普段の生活を静かに描き続ける。
ヒトラーの山荘の留守を預かり裸で歩き回っている愛人エヴァ。
ピクニックに行き子供のようにはしゃぎまわり、ジョークを連発するヒトラー。
ひとたび自分の気にいらないことがあると突然怒り出し、冷酷な言葉を浴びせるヒトラー。
愛人エヴァと2人きりになると、途端に弱気な子供のように甘えん坊になるヒトラー。
「ヒトラーを徹底的に“ひとりの男”に引きずり降ろさなければ、歴史の悪循環は断ち切れない」と言うソクーロフの想いと『牡牛座 レーニンの肖像』、『太陽』へ連なるシリーズの構想がよく分る作品です。
この上映機会にぜひ京都みなみ会館にてご覧ください。

 【京都みなみ会館 今週のスケジュール】
5/18(日),19(月) 上映時間=「牡牛座」15:45、「モレク+ヒトラー」17:35、
5/20(火),21(水) 上映時間=「牡牛座」15:45、「静かなる一頁」  17:35、「エルミタージュ」19:05
5/22(水),23(木) 上映時間=「牡牛座」13:40、「日陽は」15:30、「孤独な声」15:00、「痛ましき」19:40
http://www.rcsmovie.co.jp/minami/2008/oushi/0520.htm#1


Posted by エス at 17:53