滋賀会館大ホールで市川雷蔵『ぼんち』から『また逢う日まで』?
2008年08月19日
< 昭和ニッポン映画帖 リアリズム 今井正×モダニズム 市川崑 >
☆ 8月22日(金)・23日(土)・24日(日) 滋賀会館大ホール ☆
溝口健二、黒沢明、など名匠の代表作を毎年お届けしてきた<優秀映画鑑賞会>特選上映。
2008年、大ホール上映最後となるこの夏は、近代日本の光と影を情感豊かなリアリズムで描いた今井正と、才気溢れる作風で日本映画の刷新を試み続けた市川崑。日本映画界を絶えずリードしてきたニ人の巨匠の代表作4作品を紹介いたします。

今回、上記宣伝フライヤーの評判が上々で、担当したRCSとしてはとっても嬉しいです。
シンプルにまとまってタイトル名と作家名がはっきり見やすくなっている分かり易さが良いのだと思いますが、何より当時の力量あるスチール・カメラマンによる入魂の宣伝写真が、1枚の写真にハッキリと作品の放つ空気感を切り取っていて“凄み”を感じます。
写真上の市川雷蔵と越路吹雪は、この1枚で見事に『ぼんち』を表現していますし、池辺良のオトコマエぶりと杉葉子の素足は戦後の新たな自由を謳う『青い山脈』そのものです。
そんなイケメン・スター中心のフライヤーになったお陰で、原節子や、『また逢う日まで』の久我美子ら主演女優陣が表紙に紹介出来なくなりましたが、裏面にはしっかりとアップのカットを入れておりますのでご安心を。
しかし、世代的には「また逢う日まで」と来れば、筒美京平×阿久悠コンビの大ヒット曲で、尾崎紀世彦!となる処、こちらは昭和25年のキネマ旬報ベストテン第1位に輝いた名作でありますのでお間違えのなきように。
しかし、「また逢う日まで」と云うコトバ、今の滋賀会館にはとっても堪えますね。
【今井正監督作品】
『青い山脈』&『続青い山脈』 *2本立て上映
1949年/藤本プロ=東宝/白黒/計172分
原作:石坂洋次郎 音楽:服部良一
出演:原節子/杉葉子/木暮実千代/池部良/伊豆肇
『また逢う日まで』
1950年/東宝/白黒/109分
脚本:水木洋子/八住利雄
出演:岡田英次/久我美子/滝沢修/杉村春子
【市川崑監督作品】
『野火』
1959年/大映/白黒/104分
脚本:和田夏十 原作:大岡昇平 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二/滝沢修/ミッキー・カーチス/星ひかる/月田昌也/浜村純
『ぼんち』
1959年/大映/カラー/104分
脚本:市川崑/和田夏十 原作:山崎豊子
撮影:宮川一夫 音楽:芥川也寸志 美術:西岡善信
出演:市川雷蔵/京マチ子/若尾文子/草笛光子/越路吹雪/中村玉緒/山田五十鈴/中村鴈治郎
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☆ 8月22日(金)・23日(土)・24日(日) 滋賀会館大ホール ☆
溝口健二、黒沢明、など名匠の代表作を毎年お届けしてきた<優秀映画鑑賞会>特選上映。
2008年、大ホール上映最後となるこの夏は、近代日本の光と影を情感豊かなリアリズムで描いた今井正と、才気溢れる作風で日本映画の刷新を試み続けた市川崑。日本映画界を絶えずリードしてきたニ人の巨匠の代表作4作品を紹介いたします。

今回、上記宣伝フライヤーの評判が上々で、担当したRCSとしてはとっても嬉しいです。
シンプルにまとまってタイトル名と作家名がはっきり見やすくなっている分かり易さが良いのだと思いますが、何より当時の力量あるスチール・カメラマンによる入魂の宣伝写真が、1枚の写真にハッキリと作品の放つ空気感を切り取っていて“凄み”を感じます。
写真上の市川雷蔵と越路吹雪は、この1枚で見事に『ぼんち』を表現していますし、池辺良のオトコマエぶりと杉葉子の素足は戦後の新たな自由を謳う『青い山脈』そのものです。
そんなイケメン・スター中心のフライヤーになったお陰で、原節子や、『また逢う日まで』の久我美子ら主演女優陣が表紙に紹介出来なくなりましたが、裏面にはしっかりとアップのカットを入れておりますのでご安心を。
しかし、世代的には「また逢う日まで」と来れば、筒美京平×阿久悠コンビの大ヒット曲で、尾崎紀世彦!となる処、こちらは昭和25年のキネマ旬報ベストテン第1位に輝いた名作でありますのでお間違えのなきように。
しかし、「また逢う日まで」と云うコトバ、今の滋賀会館にはとっても堪えますね。
【今井正監督作品】
『青い山脈』&『続青い山脈』 *2本立て上映
1949年/藤本プロ=東宝/白黒/計172分
原作:石坂洋次郎 音楽:服部良一
出演:原節子/杉葉子/木暮実千代/池部良/伊豆肇
『また逢う日まで』
1950年/東宝/白黒/109分
脚本:水木洋子/八住利雄
出演:岡田英次/久我美子/滝沢修/杉村春子
【市川崑監督作品】
『野火』
1959年/大映/白黒/104分
脚本:和田夏十 原作:大岡昇平 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二/滝沢修/ミッキー・カーチス/星ひかる/月田昌也/浜村純
『ぼんち』
1959年/大映/カラー/104分
脚本:市川崑/和田夏十 原作:山崎豊子
撮影:宮川一夫 音楽:芥川也寸志 美術:西岡善信
出演:市川雷蔵/京マチ子/若尾文子/草笛光子/越路吹雪/中村玉緒/山田五十鈴/中村鴈治郎
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エス
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23:59
原恵一監督、滋賀会館でエスパー魔美と河童のクゥと再会の夏休み
2008年08月19日
お盆休みの滋賀会館で行った、夏休みスペシャル上映<原恵一監督と夏休み>。
やはり宣伝期間が無かった事もあって、オトナとこどもがいっぱい、とは行きませんでしたけれど、滋賀や京都のみならず、全国各地から熱烈なファンが駆け付けてくれて、久々の大スクリーン上映に、監督とのトークショーは拍手も熱く大いに盛り上がりました!
そして原監督のご好意で、お客さん一人一人に握手も頂けた感激のサイン会まで、広い大ホールは入場者数などをものともしない感動と熱気に包まれました。
今回初めて『河童のクゥと夏休み』を見たと言うお客様も多く、名作と出会えた興奮と感動が、まさに会場を覆って監督への賛辞と感謝に溢れたのです。
こんな映画ファンが心をひとつに出来る映画鑑賞は、あらゆる種類の作品を一手に映すシネマコンプレックスではほぼあり得ない状況であり、そんな空気感も生み出せません。
なるほど、「この会館は、映画の作り手と観客がひとつになれる場所となりえるのだ」と言う事を改めてよく理解できました。
そして同時に、滋賀県民はそんな素晴らしい想いを集められる貴重な場所をひとつ、まさに失おうとしているのだと、悔しく感じました。
「びわ湖ホール」が出来た以上「滋賀会館」の役目は終わった言われるのも分かりますが、たとえ代替と言っても「びわ湖ホール」での映画上映は想定されていません。
京都でのナイト・イベントの際も、遠方から訪ねてくれるファンのパワーには感心しましたが、今回も名古屋、広島、そして東京と各地から大津・滋賀会館を目指し、はるばるとファンの方々が見に来てくれて感激です。
宿泊して2日がかりで参加の方も居られて、滋賀県観光に僅かながらでもしっかりと貢献している滋賀会館。
けれどもそんな貢献への“チャンスを生み出す芽”すら摘み取ってくれる県の行政案。見た目の支出が止まれば格好はつくでしょうが、そこで失うものは“こころ”だと思います。でもそのカタチが見えないために、今は気が付かないのでしょう。
20年ぶりの大スクリーン復活上映にお話も白熱!
『エスパー魔美 星空のダンシングドール』は“地味”じゃなくて、渋い!とお客様。
監督の原点は、デビュー作にこそ秘められる歴史を、またも証明してくれた秀作。

浅尾典彦さん、原監督、ミルクマン斉藤さん
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やはり宣伝期間が無かった事もあって、オトナとこどもがいっぱい、とは行きませんでしたけれど、滋賀や京都のみならず、全国各地から熱烈なファンが駆け付けてくれて、久々の大スクリーン上映に、監督とのトークショーは拍手も熱く大いに盛り上がりました!
そして原監督のご好意で、お客さん一人一人に握手も頂けた感激のサイン会まで、広い大ホールは入場者数などをものともしない感動と熱気に包まれました。
今回初めて『河童のクゥと夏休み』を見たと言うお客様も多く、名作と出会えた興奮と感動が、まさに会場を覆って監督への賛辞と感謝に溢れたのです。
こんな映画ファンが心をひとつに出来る映画鑑賞は、あらゆる種類の作品を一手に映すシネマコンプレックスではほぼあり得ない状況であり、そんな空気感も生み出せません。
なるほど、「この会館は、映画の作り手と観客がひとつになれる場所となりえるのだ」と言う事を改めてよく理解できました。
そして同時に、滋賀県民はそんな素晴らしい想いを集められる貴重な場所をひとつ、まさに失おうとしているのだと、悔しく感じました。
「びわ湖ホール」が出来た以上「滋賀会館」の役目は終わった言われるのも分かりますが、たとえ代替と言っても「びわ湖ホール」での映画上映は想定されていません。
京都でのナイト・イベントの際も、遠方から訪ねてくれるファンのパワーには感心しましたが、今回も名古屋、広島、そして東京と各地から大津・滋賀会館を目指し、はるばるとファンの方々が見に来てくれて感激です。
宿泊して2日がかりで参加の方も居られて、滋賀県観光に僅かながらでもしっかりと貢献している滋賀会館。
けれどもそんな貢献への“チャンスを生み出す芽”すら摘み取ってくれる県の行政案。見た目の支出が止まれば格好はつくでしょうが、そこで失うものは“こころ”だと思います。でもそのカタチが見えないために、今は気が付かないのでしょう。
20年ぶりの大スクリーン復活上映にお話も白熱!
『エスパー魔美 星空のダンシングドール』は“地味”じゃなくて、渋い!とお客様。
監督の原点は、デビュー作にこそ秘められる歴史を、またも証明してくれた秀作。

浅尾典彦さん、原監督、ミルクマン斉藤さん
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エス
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